September 13,

「I never dreamed of success, I worked for it(成功を夢見たことはありません。 成功に向けて努力したのです)」。これは、まだ女性が働くことすら珍しかった時代にブランドを創業したエスティ ローダー夫人の言葉。あらゆる人の力、そして自分自身の力を誰よりも信じ動き続けた彼女は、誰もが持つ無限の可能性を信じることの大切さを伝えてきた。この夏、そんなメッセージを広く届けるため、エスティ ローダーでは「MY OWN HERO, 明日はもっとなりたい私へ」というキャンペーンを展開している。

では、実際に自らの可能性を広げている人々の内側には、どのような思いや信念があるのだろう?Discoverでは、自らの手で未来を切り開いている人々の7つの言葉とエピソードから「明日、もっとなりたい私」を叶えるためのヒントを探る。

今回話を伺ったのは福田萌子さん。モデルやスポーツトラベラー、トレーナーとして幅広く活躍し、普段からセルフラブとは?について発信し続ける福田さんに、進化し続けるためのポジティブマインドについて訊いた。

 

1. 影響を与えられる人になりたい。

ー 8月に『「なりたい自分」になるシンプルなルール』を発売されましたが、幼少期や10代のころになりたい自分像はありましたか?

自己を確立してないと「こういう人になりたい」という思考は芽生えないと思うので、具体的な像はありませんでした。でも、ざっくりと「影響力のある人になりたい」と思っていましたね。有名になりたいということではなくて、自分が接する周りの人に影響を与えられる人になりたいという意味です。

私は戦争とのかかわりの深い沖縄で生まれ育ったのですが、自分なりの意見や感じた事を発信したくても、例えば14歳の女の子が学校で書いた作文には影響力は少ないですし、自分の意見ってなんてちっぽけなんだろうと思ったんです。本当は「私はこういう意見をもっているよ。みんなはどう思う?」っていうディスカッションをしたかった。

昔からディスカッションが好きだったんです。ひとつのテーマについて皆で意見を出し合って話し合いたい。違う意見だったら面白いし、似た意見でもそこからさらに何かを深められるので。だから、ディスカッションになるテーマやきっかけを与えられる影響力のある人になりたいとどこかで思っていました。

 

2. ディテールが大事。

ー いま自我のお話もありましたが、最近は「自分らしさってなんだろう」と悩んでいる人も多いように感じます。福田さんは自分らしさをどう捉えていますか?

そんなに考えすぎない方がいいと思う。考えても、自問自答がずっと繰り返されてわからないような気がするので。自分が好きなことをしたり、信念や情熱をもって出来ることを突き詰めると、そこに自分らしさが出てくるんじゃないかなって思います。

ー 福田さんがいま信念や情熱をもっていることはなんですか?

お仕事と運動には情熱をもっています。多分たくさんの人が同じように答えると思うんです。でも、大切なのはどう取り組んでいるか。例えばアスリートならば記録を競うために取り組んでいますが、私はいかに自分のポテンシャルの中で楽しみ、その楽しさを伝えられるかを考えています。そういう情熱の入れ方の違いが自分らしさだと思うんです。何を思っているのか、どう取り組んでいるのか、そのディテールが一番大事なのかなと思います。

 

3. 変化は進化。

ー 変化することについて聞かせてください。自分を変えることに対して不安や恐怖を感じる人もいますが、福田さんは変化をどうとらえていますか?

変化、というか進化ですよね。白が黒になるわけじゃなくて、人はグラデーションのように徐々に進化していくものだと思います。時代に合わせて柔軟に自分を変えていかないと、対応できずに退化してしまうと思うんですよ。だから当たり前にしなくちゃいけないことだと思っています。体だって成長とともに常に変化していますよね。それが心となると、みんな変わったり踏み出すのが怖いと感じちゃうのかなと思うのですが、それは成長という進化の姿だと思っています。

 

4. 自分の体は一冊の本。

ー 体の変化に対してはどうですか?

年齢とともにシワも絶対増えていくじゃないですか。どんなにちゃんとケアしていたって、体は老いていくわけで。使ってくからどこかにガタがきます。そこはもう当たり前のことなので、怖さとかではないですね。その時々に合わせて最適なお化粧品を選ぶようにベストは尽くしながらも、自然には抗わずにいる。それが幸せだと思っています。シミだって、たくさん遊んだ証拠だなぁととらえています。

ー 自分の体に起きたことは、経験の証と考えていらっしゃるんですね。

そうですね。ストーリーが増えていく感覚です。自分の体を一冊の本と考えたとき、生まれたときは白紙じゃないですか。そこから傷が増えて、しわが増えて、というようにどんどんページに書き込まれていく。その本がどんどん重なっていけば自分の人生の物語になります。交通事故で30針近く縫った傷も、これがあるから命があってよかったなって思える。怖かったけれど、それも1ページというふうに自分の身体と記憶に刻まれていくんです。

ー とてもポジティブな考え方で素敵です。

何があっても、生きているかぎり人生は続いていくわけなので。マイナスに捉えていたら気持ちが死んじゃいますよね。だから生きていくうえでは、何があってもプラスに変換しなきゃいけないと思っています。傷が増えることはもちろん苦しかったですけれど、同じような経験をした人に寄り添えるっていうふうにも思っていて。同じような体験をした人に、私の経験をもとに伝えることができますよね。だからプラスです。それ知らなかったら、いま目の前で事故にあった人に「え、大丈夫?怖い」くらいしか言えないかもしれない。そこも、物語の1ページの大切なところですよね。人の支えになれる、ヘルプできるっていうのは。

 

5. 何でうまくなきゃいけないの?

ー そうしていろいろな経験を詰まれてきたと思うのですが、何か新しいことに挑戦するとき、心がけていることはありますか?

まず、できないって思わないこと。みんな何かしらできますもん。何かに挑戦するとき、みなさん考えるのは「できるかな?」ではなく「うまくできるかな?」だと思うんです。でも、何でうまくなきゃいけないの?って思います。初めてのときは下手で当たり前じゃないですか。でも、みなさん必ずできる。それが上手か下手か、向いてるか向いてないかはやってみなきゃわかりません。だからとりあえずやってみて、向いてなかったらやめる。やってみて合わなかったり、好きになれなかったらやめるって考えています。

ー 「できる」の捉え方の違いにハッとしました。

みなさんストイックな完璧主義で。やるからにはうまくやらなきゃいけないとか、失敗しちゃいけないとか考えていると思うんです。でも、それじゃあ何にもできないので、とりあえず気になったことはやってみてほしいです。何か面白そうって思ったら気軽な気持ちでトライしてみる。命がけの綱渡りだったらちょっと練習が必要だけれど、日常的にやってみたいと思うことはなんでもできます。これは本にも詳しく書いていることですが、トライ&エラーを恐れないでほしいです。

 

6. モヤモヤはその日のうちに取り除く。

ー パワフルにポジティブに日々ご活躍されている印象がありますが、心のケアで何かしていることはありますか?

これ!と言えるものはないのですが、日々ちゃんと「消化」していると思います。モヤモヤをずっと持っておかない。モヤモヤを持った瞬間に、自分で消化するか原因を突き止めて解決策を探すんです。心が痛くなっちゃって動けなくなるまで放って置かない。体も、痛みを感じたらすぐ取りたいじゃないですか。今日のむくみは今日のうちにとるのと同じで、今日のモヤモヤは今日のうちに取り除く。心も体と同じで、違和感を感じたら原因を取り除くようにしています。

ー 心のモヤモヤはどう取り除いていますか?

自分で明確な原因を知って、認めてあげることです。例えば、人に何か言われてモヤモヤしていたら、そのモヤモヤの原因が何だったのかを考えます。何かを言われて自分が悲しかったのか、悔しかったのか。もしくは自分が苦しいんじゃなくて、その人がそういう発言をする人だったことがショックだったのか。感情を読み解いてあげると新しい発見もあり自分を成長させてあげられると思います。

自分が苦しかったのなら、言われても受け流せる様に忘れる努力をする。その人が発言する事にショックを受けたなら、自分が勝手に相手に理想を投影しているかもしれないので、無意識に理想を押し付けて相手を決めつけることはやめようと思えるはずです。そういう理由を知るとスッキリしますよね。それでも解決しない内容の時は相手とちゃんと向き合って、どう感じたかを話してみるとか。自分の気持ちを認めてあげることで、きちんと消化できるのかなって思います。

 

7. 世界平和!のための自己肯定感。

ー 最後に、これからの挑戦について聞かせてください。

常に何かにチャレンジしているので何が大きいかはわからないのですが、いまは子どもがお腹にいるので、この子を育てること、この体と向き合うことが一番のチャレンジかもしれないですね。日々どころか、1日の中でもすごい変化なので。

あとは、子どもたちが生きやすい、自己肯定を得られるような環境をつくりたいです。いまわたしは20代や30代に向けて発信していますが、子どものころから自己肯定感がある社会だったら本当は必要ないことだと思っていて。だから、子どもたちにも教育やスポーツを通して自分を認めて、ありのままの自分を愛して、人と比べず、自分の才能を生かしてあげられるようなシステムが作れたらいいなというふうに思っています。

ー そう思われるようになった理由はなんですか?

世界平和!本当にそう思っています。いま私は「こういう意見もあるよ」と日々発信していますが、それが行きつく先は世界平和なんです。みんな意見が違って当たり前なのに、何か違うってなるとこの小さな世界ではいじめや戦争がおこる。だから違いをちゃんと楽しんで、自分と相手を比べないことが大事だと思っています。自分で自分を肯定してあげられれば、外からの承認欲求はなくなるはずなんですよね。そうすると対等に人とお話ができて、他人を攻撃しなくなる。それが重なれば、世界は平和になっていくと信じています。綺麗事かもしれないのですが、目指さないといけませんよね。諦めちゃったら可能性がゼロになっちゃうわけだから。

それをスポーツを通して実現できるといいなと思っています。体を動かすことって大切ですよね。心と体は繋がってるので。私はスポーツをすることで心が鍛えられたと思っています。なのでスポーツを通して自信を積み上げる方法を伝えたい。沢山の方がそう思って活動していらっしゃると思いますが、わたしも、みんなの理想の世界を築く歯車のひとつになれたらいいなと思っています。

 

撮影協力:メズム東京、オートグラフ コレクション

 

福田萌子
モデル、スポーツトラベラー、トレーナー。TVや雑誌など幅広く活動し、Amazon Prime Video配信の「バチェロレッテ・ジャパン」では初代バチェロレッテを務め、同世代をはじめとした多くの女性から支持を得ている。 2022年8月3日に初の著書【「なりたい自分」になるシンプルなルール】を発売し、セルフラブへの気づき、日々の自己肯定や自信を養うセミナーも行っている。

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